ネットショップのデザインについて。
良いに越した事はないがこだわりすぎも良くない

ネットショップのデザインについて。良いに越した事はないがこだわりすぎも良くない

パッと見てとってもかっこいいデザインのサイトには多くの人が憧れます。
サイトを見た瞬間に非常に可愛いサイト、キュートなサイト、視覚的に惹かれるサイトであれば滞在時間にも影響を及ぼしますし操作して楽しくなるというメリットはあります。

自分自身が見ていて楽しかったりするサイトであればあるほど、これからサイトを立ち上げたり、ネットショップを構築して運営していこうとする人の中には、同じようにそういうデザインの中でもいわゆるグラフィカルな見た目重視のサイトを作りたい!と思う人も多くいます。

確かに、かっこいいサイトや可愛いサイトは人を惹きつけますし憧れるのもよく分かります。しかしながら、結論から言ってしまえば成果が出るサイトや通販で売上が上がるサイトとかっこいいデザインというのはそこまで深く関係があるものではありません。

サイトのデザインがかっこいい=売れるサイトではない

私がはじめてネットショップで働いていたとき、もっと言うと超駆け出しというか、この業界に入り出した頃(なので、おそらく10年以上前かそれくらい)、当時のショップの店長さんから言われた言葉があります。

「デザインの良いサイトが売れるサイトじゃないんよ」

実際に当時働いていたネットショップのデザインは、お世辞にも綺麗・カッコイイというデザインではなく、なんなら、超古く当時でさえも古い技術でテーブルレイアウトでしたし、画像に載せる文字フォントなども素人っぽさが満載でした。

入った頃はこのデザインだとしょぼい見た目だしあんまり売れてないだろうから、自分でデザインも全部リニューアルしたいなーなんて考えていました。そんな心を読んだのかは分かりませんが、当時のショップの店長さんの先ほどの言葉が強烈だったのです。

実際、当時のそのネットショップは月商で1,000万円は超えていました。
楽天市場店としても運用していたのですが、当時でその属するカテゴリでは圧倒的No.1だったりもしました。

当時は正直なところ、なんでこんな見た目しょぼいのに大量に売れてるんだろう?怪しいと思ったりしないのか?なんて事を考えたりしていたこともありました。

デザインで売れる事もあれば売れない事もある

ネットショップは基本的に、サイトデザインで売っているわけではありません。
商品の魅力、それを伝える写真、そして気を引くキャッチコピー。これらを中心に売っていきます。

見た目のデザインが格好いいサイトや綺麗なサイト、可愛いサイトであることが売上を上げる条件というのであれば、ウェブデザイナーがこぞってネットショップやサイトを立ち上げれば、たちまちあらゆるサイトの売上が急上昇という感じになるはずですが、当然そんなに甘い世界ではありません。

特に、そういう視覚的にデザインが優れているサイトを作るデザイナーという職は、私もデザイナー上がりでWEBの業界に就いたのでよくわかるのですが、売れるとかそういう事への興味が薄かったり、知識もあまりない事も多いです。(持ってる人もいますが、相対的に見ると少ないかと思われます)。

格好いいサイトや見た目で息を呑むようなサイトを作るのは得意かもしれませんが、誰がそのサイトを見て使うのか、どういう回遊でサイトを見てもらうのか、カテゴリ分けなどはどうするのか、そういった使う側の視点というのは考えられない事も多かったりします。

自分好みのデザインをするか、見た目かっこいいサイトを作れるか。そこに焦点をあてていたりする人がまだまだ非常に多いのです。

個人の嗜好のデザインに時間を割くのは無駄

もちろん、デザインがよいに越した事はありません。
当然同じ商品、同じ価格、同じサポートであったなら、多くの人はデザインが汚いサイトよりも綺麗なサイトで買うと思います。

しかしながら、デザインというのは、ネットショップにおいては後付けでしかありません。
このサイトのデザインが綺麗・カッコイイからここで買おう!という流れではないのです。

商品が良い、欲しいという前提があって、そこにデザインが良いからという位置づけです。
もっと言うなら、デザインが良いからという事ではなく、実際には詐欺っぽくない、怪しくないというのが正しいかもしれません。

ネットショップに必要とされるサイトデザインとは?

ネットショップを運営していくにあたり、見た人がうなるようなデザインは必要ありません。
むしろ逆にあまりにも動的すぎて何かコロコロ動きすぎるサイトなどは基本的にあまり好ましくない場合も多いです。

日本中の誰もが知っていて、ブランド力があってそもそもデザイン自体が大きな売りなどのブランドサイトであれば別ですが、一般的な中小企業が運営するネットショップであれば、それこそそんなブランドと同じようなことを狙うのは無駄なお金の使い所になります。

仮に使うとしても、ワンポイント的な使い方で使わないと厳しいかもしれません。

むしろ必要なのは、見た人が迷う事なくサイトを見て回れるか、ユーザビリティを観点においたサイトデザインができているか。このあたりの方が重要になってきます。

売れている店が必ずしもデザインが綺麗とも限らない

独自ドメイン系の通販サイトは売れているかどうかなどがなかなかわからないので難しいですが、楽天やヤフーショッピングなどであれば、モールのランキングはある程度は売上順などになる事も多いので、その上位のお店を見てみたらいいと思います。

見た瞬間にパッと目を引くようなおしゃれで格好良いデザインというのはあまり多くなく、ある程度は型が決まっているように似た作りで、そこに独自のエッセンスを加えているというパターンの方が多いです。

見て綺麗、格好いい、動きがあって面白い!というデザインではなく、言葉が正しいかはわかりませんが、”至って普通”といった感じの方が多いのではないかと思います。

むしろもっと言ってしまうと、モール系などであれば、大きなキャッチコピーがドンと入っていたり、写真がデカデカと掲載されていたり、デザイナーからしたら多少は「うわー…」と思うようなコテコテ感があるサイトの方が多いかもしれません。

デザインで売上の向上はLPでなければ無駄にこだわりすぎない

サイトのデザインがよければ売上げがあがる。なんてことは思い違いです。
もちろんデザインは良いに越したことはありませんが、それもユーザビリティがしっかりとした使いやすくて綺麗なデザインである必要があります。

そして今やもうスマホで見る事の方が多い時代です。
パソコンの大画面と違って、ユーザーが見ている画面というのはとても小さい画面になりつつあり、範囲というのは狭まっていきます。

とても綺麗だったり動きが派手で格好いいサイトというのを好む人も多いかもしれませんが、それはあくまでも見て楽しいサイトであって、売りたいサイトの時にはそれは時として逆効果にすらなり得ます。

何を、どこまで、どのように見せていくのか、見た目の綺麗さなどはスマートフォンなど小型化していく事でデザイン性というのはより小さくなってしまっていて、そうなった時に大切なのは、使い勝手や不快感がないかというところになります。

もちろん自社のサイトですからこだわりたいという気持ちはわかります。
ですが、本来やるべき事を後回しにして、社長や店長の好み、趣味に合わせたデザインにこだわるなんて事は避けるようにしましょう。

効果が悪いからこのバナーのデザイン変えようというのは、至極真っ当ですが、このバナーのデザインの人物が好みの顔じゃないんだよねー。差し替えてーなんてことは(実際によくある話ですが)、そんな理由で変えるような事がないように注意しましょう。

まとめ

ちょっと最近はネットショップの立ち上げや運営のプチ相談などをいただく機会が増えてはいるのですが、意外と業界的には基本や当然と思われるような事も、新たにネットショップに取り組む、はじめてリアルからネットに進出という方だと分からないという点も多々あります。

業界の常識は世間の非常識という言葉があるように、実際に自分たちが仕事で身を置く業界では当然と思うことでも、その業界に初めてくる人からすれば、「え?そうなの?」という事は多々あったりしますので、しっかりと改めて伝えていく事も大切かなとも感じます。

デザインには明確な100%こうすれば良いという答えがないものですから、こだわりだしたらどこまでもこだわり続けてしまい、ユーザーや購入側からしたらどうでも良い事を、運営者側が悩んで時間を無駄にしているという事はよくある事でもあります。

デザインが良いに越した事はありませんが、何をもって良いとするのか、その判断を誤らないようにしつつ、変なところでこだわりすぎないというのも大切かなとも感じるこの頃でした。

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